「カオスとアクシデントを操る数学」が面白かった.

「カオスとアクシデントを操る数学」という一般向けの数学書みたいな本を読んだのだけれど,これは面白い.副題が「難解なテーマがサラリとわかるガイドブック」というだけあって,たしかにわかりやすい.というか,説明のしかたが面白い.
図が多くて楽しいし,難しい専門用語はほとんど出てこなくて,章の最後にポロッというぐらいにとどめてある.
扱ってるトピックおおまかにいって,

とまぁ,こういう本で使い古されたといったらなんだけど,さほど目新しいものは無い.でも,いま書き出してたら,思ったより幅広くてびっくりした.
とにかく,話の流れと説明の仕方がとても面白いので読んでみて損はないと思う.

で,話は逸れるんだけど,僕は黄金比の話のときに,絵画とか建築がでてくるのがあまり好きではない.この本でもその部分はあまり面白くなかった.本の中でも「インチキなのも多い」みたいなことを言ってはいるんだけど,それでも黄金比と芸術の結びつけは強引な気がしてならない.

一番面白かったのは最後のほうの無限の説明.
無限の大きさを一対一に基づいて考えるっていう集合論の基礎を,左右の手の指を対応付けて説明するところから話が始まる.
お馴染みの無限の部屋を持つホテルが登場した後に,一対一対応させることが出来ない例として,ドッジボールとかいう変なボードゲーム対角線論法を扱う.
次に,ホテルの清掃員の話になるんだけど,これは無限集合のべき集合を考えることにあたる.で,その清掃員達へのボーナスで清掃員全員にホテルに泊まらせようとするんだけど,さっきのドッジボールを持ち出して,最初のホテルじゃ無理だよねって話になる.
そこでその清掃員達が全員個室に泊まれるホテルを用意するんだけど,じゃあそのホテルの清掃員たちが全員個室に泊まれるホテルはどうなるの?って話で,無限の種類が無限にあることを示して,この本は幕を閉じる.
とても面白い本.